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板前からパティシエに?日本一に輝いたケーキ「メルモ」へのこだわり(兵庫県芦屋市)

今回は、兵庫県の芦屋市にある洋菓子店、芦屋洋菓子工房 シェフアサヤマの朝山シェフにお話をうかがいました。板前からパティシエに進路を変えた意外な理由や、日本一に輝いた逸品へのこだわりについて教えてくれました。

掲載日:2017-05-25

インタビューに答えてくれた方
芦屋洋菓子工房 シェフアサヤマ / オーナーシェフ 朝山末男さん
「モーツァルト 大阪」のチーフ、「フランス割烹 デセール」のチーフを経て、工房総支配人としてチーズケーキ専門店「帝塚山 フォルマ」、神戸三宮 シフォンケーキとクリームパイの店「B・O・S・C・O」の2店を同時に立ち上げ。
35歳で独立し、芦屋に「パティスリー・ドゥ・シェフ・アサヤマ」をオープン。
平成16年に行われた「第10回 日経レストラン メニューグランプリ」でグランプリを受賞。

パティシエになられたきっかけを教えてください。

僕は元々板前になりたくて、高校を卒業後に調理師学校に行ったんですよ。けど時代なんでしょうね、「料亭を仕切る花板になるには、左利きはダメ」と先生に言われて諦めざるを得なかったんですよ。

それは困りましたね...。それから、どうされたんですか。

困って先生に相談したら「お前、お菓子やれ」と言われて。それで紹介されたのが、京都でウィーン菓子をやっていたモーツアルトというお菓子屋さんでした。
面接を受けるために、大阪から京都まで車で行ったんですけど、大渋滞で。結局1時間の大遅刻。そこのチーフにお会いしたら、顔もこわばっていましてね。これは絶対落ちたなぁと思いましたね。ですけど、ひたすら謝って謝って。
頭が真っ白だったんで面接で何を聞かれたかは覚えてないんですけど、最終的に「うちで良かったら、おいで」と言ってもらえたんですよ。

大遅刻から巻き返したんですね!修業はどうでしたか?

最初は皿洗いをしたり、粉を計量したり、卵を割ったり、下積みばかりしてたんですよ。はじめのうちはそれでも楽しいと思っていたんですけど、さすがに長くやっていると「いつまで経ってもケーキが作れるようにならない」と、危機感を感じました。

その危機感をどうやって打開されたんですか?

もう時効だから言いますけど、あるときチーフの机の中からレシピを拝借しましてね。すぐコピー機に走りました 笑
ドイツ語で書かれていたんですけど、なんとなく書かれていることは分かりました。それから家でずっとそれを見て、頭に叩き込んでましたね。
そうすると不思議なもので、下積でやっていた色々なことがつながってきて、楽しくて楽しくて仕方なくなりました。

時効ということにしましょう 笑 自分のお店を持たれたのはいつですか?

それからいくつかのお店で働いて、35のときに芦屋で店を開きました。もともとは30で独立したかったんですけど、独立というのは全ての条件が重ならないとできなくて。
運、タイミング、自分の腕。そして何よりも身内の協力。それが全部そろったのが35のときだったんですよ。

オーナーパティシエとして、大変なことはなんでしょうか?

僕は自分で、商売が下手だと思ってるんですよ。ケーキをつくることと、商売をすることは別のことなので。それでも20年近くお店をやらせてもらっているのは地道にお客さんのためにお菓子を作ってきたからだと思っています。

では、お店をやっていて良かったなと感じることはなんですか?

うちはキャラクターケーキをやっていましてね。お子さんの誕生日に買われていく方が多いんですよ。
最近のことですけど、メールでキャラクターケーキを予約してくれたお客さんがいたんですよ。そのお客さんにケーキを渡すときに、「どちらから来られたんですか?」と聞くと「山口県から」と言うんですよ。わざわざ山口から芦屋までケーキを買いに来てくれたみたいで。それが本当に本当に嬉しかったです。

それは嬉しいですね。それでは、逸品を紹介していただけますか。

「メルモ」という、マスカルポーネチーズを使用した桃のムースです。第10回日経レストランメニューグランプリという大会で、グランプリをいただいたんですよ。和洋中ありとあらゆるレシピの中からグランプリに選ばれました。

メルモという名前の由来はなんでしょうか?

手塚治虫さんのアニメで「ふしぎなメルモ」というのがありまして。メルモちゃんが、赤いキャンディーと青いキャンディーをたべて、大人になったり子供になったりするんですけど。ケーキの見た目の可愛らしさがね、メルモちゃんのようだったのでつけさせてもらいました。

本物の桃のように見えますが、苦労されたところはありますか?

ムースを求肥で包んでいるのですが、淡い桃のグラデーションを再現するのが大変でした。
ピンクの求肥を試したりしたんですけど、どうしてもキツイ色になってしまいまして。そこで、ムース自体に色のついたピューレを塗って、白い求肥で包み込むことできれいなグラデーションを作ることに成功しました。

ありがとうございました。最後に、お客様に一言お願いします。

うちは商品の種類が多いですけど、全部が人気なんですよ。
最初の修行先でウイーン菓子の伝統を受け継いだのでチョコレートケーキも美味しいですし、チーズケーキ専門店FORMAの立ち上げを行った経験があるのでチーズケーキにも定評があります。
そして、焼菓子を食べてくださったお客様からは「もう他のところの焼菓子は食べられない」と言ってもらえるんです。
ぜひ食べてみてください。

面接に遅刻したり、チーフのレシピを拝借したりと、面白いストーリーをたくさん持っている朝山さんですが、仕事に向かう姿勢は職人そのものでした。
「僕は妥協をしない」という一言が、芦屋というスイーツ激戦区で20年もお店が続いている理由を表しているように感じました。
店舗は小さな木々に囲まれたおとぎの国のような外観で、とても雰囲気があります。メルモだけではなく、ぜひ他のお菓子もお楽しみください。

PENGY編集部

メルモ

価格:1個 540円

店舗情報

店名:芦屋洋菓子工房 シェフアサヤマ

住所:兵庫県芦屋市業平町2−18

ホームページ:http://www.chef-asayama.jp/