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パン屋さん、時々物書き。物語を愛する職人が焼く、絹のような食パン「SILK」(大阪府大阪市)

今回は、大阪府の大阪市にあるパン屋、「パンとお話 Appleの発音」の青木さんにお話をうかがいました。絹のような食パンをつくる方法と、今考えている型破りなパンづくりについて教えてくれました。

掲載日:2017-06-15

インタビューに答えてくれた方
パンとお話 Appleの発音 / 代表 青木俊介さん
神奈川県生まれ。
理容専門学校を卒業後、実家の理容室にて働く。
その後、さまざまなアルバイトを経験した後、2007年に「Appleの発音」をオープン。

もともと、理容師をしていたんですか?

そうですね、実家が理容室だったので、理容専門学校を出てから手伝っていました。けど、理容師ってお客さんと話すので、会話がうまくないといけないじゃないですか。だからあまり向いてないなぁと思って辞めてしまいました。

辞めてからは何をされていたんですか?

長野県に行って住み込みで高原野菜をつくったり、イタリアンレストランで働いたり、ロールケーキをつくったり、色々ですね。今で言うフリーターってやつですね 笑
けど、物書きをやりながらできる仕事なら、なんでも良かったんです。

物書きですか?

高校生のころから物語を書くのが好きだったんですよ。それで小説家志望として投稿もしてたんですけど、箸にも棒にも掛からなくて…。
今でも物語を書くのは続けていて、パンの商品名には物語のタイトルをつけるようにしています。それぞれのパンに合った物語をつくっていて、パンと物語がリンクしているんです。お客さんからはよく「わかりにくい」って言われてしまいますが 笑

独立したきっかけを教えてください。

熊本の天草に新婚旅行で行ったとき、そこで白磁を焼いている窯元の方と色々話をしたんですよ。その流れで、当時バイトをしてたパン屋での仕事について相談したら、「何年修行しても、自分の作品はつくれるようにならない。自分の作品をつくりたいなら、早く自分のお店を持った方がいいよ」と言われました。
その言葉を真に受けて、独立することにしたんですよ。

すごい行動力ですね!

独立してから最初の頃は、パンをバイクの荷台に乗せて路上販売していました。そのときに自分でつくった小さなショップカードを渡していたことがきっかけになって、口コミが広がり色んな人や場所と繋がりました。嬉しかったですね。
結局、路上販売は2年でやめて、それからは今の場所で腰を据えてパンを売るようになりました。

パンの専門学校は出てないんですか?

そうなんですよ。理容専門学校は出たんですけど 笑
パン屋として独立してから4、5年経ったときに色々とつまずいて、「うまくいかないのはパンの専門学校を出てないからなんじゃないかな」と心配になり、お世話になっている久保さんという方に相談してみました。
けど久保さんは、「もう独立してパン屋をやっているんだから、行かなくて大丈夫だよ」ってアドバイスをくださって。それを信じて行かなかったんですよ。

つまずいていたことは大丈夫になったんですか?

そこからしばらくして分かったのは「つくらないと分からない」ということです。
料理本を読んで勉強すると、理解はできるけどその通りにはできなくて。だから何回も何回もやる。そうするとある日できるようになる。そして1個できるようになると、次つまずいても、「またやっているうちにできるようになる」という自信につながるようになったんです。

それでは逸品を紹介してください。

「SILK」というビターな生地にカシューナッツを混ぜた食パンです。今は金曜日と土曜日だけ販売しています。私の地元、神奈川県の半原は絹(シルク)で有名で、いつかそこをイメージしたパンをつくりたいなという気持ちがあったんですよ。

地元への思いをパンに乗せたんですね。

実はこのパン、お世話になっている「パティスリー ガレット」の6周年をお祝いするためにつくった「まる6年」というパンが原型になっていまして。専門学校の件でも相談させていただいた久保さんのお店ですね。
その「まる6年」をアレンジしていくうちに、「生地のキメ細かさが、絹のようだ!」と思って商品名を「SILK」にしました。

どうして絹のようにキメ細かいパンができたんですか?

お砂糖をカラメル状になるまで火にかけて、それを生地に混ぜているんです。そうすると、生地がきめ細かくなります。そして、パンの焼き方にもポイントがあるんですよ。

焼き方、ですか?

普通の食パンの出来上がりは真四角ですよね?あれは四角い型に入れて、上から蓋をしているからです。けど、「SILK」はあえて蓋をしないんですよ。そうすることにより、生地がより膨らんで、中にたっぷりと空気の層ができ、それがなめらかさを生み出します。

ありがとうございました。それでは最後に、お客様に一言をお願いします。

自分に言い訳を出来ないよう、毎日全力でつくっています。一つひとつ手づくりなのでたくさんはご用意できませんが、ぜひ一度食べてみてください。

インタビューが終わりに近づいたとき青木さんが「パンを膨らませるときにはブドウなどに付いている酵母を使うんですけど、森の空気中に浮いている酵母をつかまえてパンをつくってみたいんです」とおっしゃったときには、発想力が常人のそれではないことに衝撃を受けました。
そんな青木さんの頭の中をのぞき見たい方は、店舗に置かれている「物語の本」を買ってみてください。

PENGY編集部

SILK

価格:1個 600円

店舗情報

店名:パンとお話 Appleの発音

住所:大阪府大阪市平野区流町1-9-14

ホームページ:http://applenohatsuon.blogspot.jp/